ブルー・ヘブン

アイダホ州の北部にある田舎町は犯罪とは無縁の町でもあった。というのもどういう理由かは定かではないのだが引退した警官が数多く住んでいる町だったからだ。
しかし、そこに住む12歳の少女とその弟が森の奥で殺人事件を見てしまったことから物語は始まる。二人は犯人に顔を見られるもかろうじて逃げ出すことに成功し、一人の老人が住んでいる牧場に隠れこむ。
彼女たちが見た殺人犯は元警官達で、彼らは彼女たちを捕まえるためにこの町の保安官に取込、行方知れずとなった姉弟の捜索に力を貸すという形で保安官たちの行動をコントロールし、そして姉弟を秘密裏に殺そうと画策する。
保安官こそは正義の人であるのだが、事件らしい事件など経験したことがなく、結局は犯人たちのいうなりにしかならない状況、つまり警察の側がまったくあてにならないという状況で、二人の姉弟を助けるのは二人が隠れこんだ牧場の牧場主の老人だけだった。
老人が活躍する話というのが好きな人間にとってはこの上もない面白さであり、登場人物たちの人物造形もまた素晴らしい。犯人たちも単純な悪というわけでもなく、中には自分の中の倫理との板挟みに悩む人間もいたりして、単純な善悪にわかれるというわけでもない。
タイムリミットが近づいていく中、終盤になってそれまでのたまりたまったいろいろな思惑が炸裂して一気に激しいアクションシーンに展開される。
意外な展開といったものはないが、純粋になにも考えずに楽しむことができる一冊だった。

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