猫は宇宙で丸くなる

SFというジャンルほど猫が登場する短編を集めたアンソロジーを編みたがるジャンルはないんじゃないのかという気もしてくる。
実際はそんなに出ているわけじゃないけれども、他のジャンルに比べると多い気もする。
この本は、地上編と宇宙編と大きく二つに分かれている上に、装丁もちょっと凝っていて、といっても文庫なので本そのものは普通の文庫と同じだが、カバーを外した状態の絵やそれぞれの扉絵など手が込んでいるので、それだけでも楽しくなる。
既読作品も多少あるけれども、現時点で入手困難なものばかりを集めたということもあって、既読の作品も読んだのはかなり昔。というわけで内容も忘れている。
ロバート・F・ヤングの「ピネロピへの贈りもの」なんてどんな話だったのかも忘れてしまっていたのだが、オチはさすがに予想がつく。
自分だったらもうちょっと贈り物の額を上げるのにと思ってしまうのはそれだけ現実重視の人間になってしまったせいかもしれない。
気に入ったのは「パフ」「ベンジャミンの治療」「ヘリックス・ザ・キャット」でどれも地上編で、人為的に天才猫になってしまった猫の物語であり、様々な形での悲しみが描かれる。

コメント

タイトルとURLをコピーしました