最近は最終巻だけ分厚いという漫画が増えてきた。それだったらもう一巻分出すことができるくらいまで話を続けてくれればいいのにと思うこともあるのだが、その一方で、ページ数が増えた分それだけの満足感を得ることができるという点もあるので、途中で打ち切りになってしまったという理由ではないのであれば、読み手としては歓迎する方法なのかもしれない。
5000光年も彼方に飛ばされてしまい、途中で惑星に立ち寄り水や食料を補給しながら故郷に帰るというのが基本骨格なので、いくらでも話を続けることができるけれども、あとがきを読むと短期集中連載というかたちの企画だったということだ。結果としてちょうどいい分量で物語は終わった。1巻から最初のページにアトラス号の航路が示されていてそこには途中で立ち寄る惑星の数も描かれていたのだが、この航路はあくまで目安のようなものでこの通りにはならないだろうと高をくくっていたらそんなことはなく、最初からきっちりと計算しつくされていたのである。
様々な伏線は驚きとともに次々と回収されていって、ご都合主義過ぎるんじゃないかと思わせた部分にもしっかりと納得のできる理由が存在しており、それでいて全5巻というボリュームの中で破綻せずに最後まで描ききったというのは素晴らしい。
強いていえば悪人らしい悪人が登場しないというか、悪人は登場するけれども非常にシンプルで複雑さや毒がない。その点が物足りなさを感じさせるのだが、しかしこの物語がジュブナイルであるということを考えると、そんなものは必要ないわけで文句を言う方がおかしいのだろう。
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