脳の意識 機械の意識 – 脳神経科学の挑戦

SFが好きなので意識とな何か、あるいは機械は意識を持つことができるのだろうかといったことに興味がある。
数年前から人工知能ブームが起こったけれども現時点での人工知能というのは意識とは程遠い、いや知能=意識と考えてよいのかといえばそうではなく、知能があっても意識があるとはいいきれなくって、そういったことを暇な時にあれこれと考えるのは楽しい。
ベンジャミン・リベットという人が行った実験というのが衝撃的で、この人が行った実験によって、意識というものがあやふやなものになってしまった。もっとも、その前から意識とはなにかということについてはあやふやなものでもあったのだけれども、それでも、何か行動をしようとした時、その行動を決定するのは自分の意識であってそれ以外の何物でもないと思われていた。ぼくもそう思っていた。でも、リベットが行った実験によって、人が何か行動を起こそうとする時、意識がそれを決定する0.5秒前に行動しているということが明らかになってしまった。
ようするに僕たちが見ている世界は実際の世界で起こっていることよりも、0.5秒ほど遅れて見ているということだ。じゃあなにが僕の行動を決定しているのだろう。
そして意識は何のために存在しているのだろう。
脳のニューロンの発火という部分から、そういった意識という部分、どうすれば機械に意識を持たすことできるのだろうかという方向へとこの本は突き進んでいく。そして、機械に意識を持たすということは同時に、自分の意識を機械の中で再現させるためにはどうすればよいのかということでもあり、作者は困難だけれどもそこに至る道筋をつけていく。
癲癇の治療のために半球離断術という大脳の左右の連絡を切断する手術が存在するが、これを行い完全に左右が分離されてしまうと、右脳と左脳とでそれぞれ別の意識が存在しているのではないかと思われる症状が起こるらしい。意識というのはもともと右脳と左脳とで別々に存在しているのかそれとも分離されたことによって二つに別れたのかはわからないのだが、そういった部分も含めて考えると、脳というのは複雑で興味深い存在である。

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