ファイアパンチ 8

これはもう一度最初から読みなおしてみなければなんともいえない部分もあるけれども、作者がインタビューで語っていたとおり、数巻ごとにジャンルがまったく違う内容になっていき、それでいて物語の骨格の部分は破綻していないのは流石だと思う。骨格以外の外側の部分に関していえば破綻しているというかジャンルがまったく変わってしまっているのだから当然なのだが、読んでいて面白いなと思う部分はその外側の部分に依存する物が大きすぎて、最終巻であるこの巻を読み終えて、釈然としない部分というのもあることはある。
だからもう一度最初から一気に読みなおしてみたほうがいいのだが、しかし、次々と切り捨てていった外側の部分を最後まで残し続けていったとしたら無茶苦茶になってしまっただろうから、読みなおしてみたとしても読後感はそれほど変わることはないだろう。
極寒の地と化した未来の地球とか、映画撮影とか、さらには対象物を燃え尽くすまでは絶対に消えない炎とか、主人公のどんな状態にあっても再生する能力とか、そういった面白くなりそうな要素をつぎ込みながらもそれ自体は単なる捨て駒にすぎず、最初から最後まで主人公自身の物語でしかなかった、しかも主人公が苦難を乗り越えて成長するとかそういった要素も全くなしにという点において、ものすごい力技の漫画だった。

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