残り一巻で今までの伏線の部分が全て解決できるのだろうかと危ぶんでいたけれども、ようするに第一部完で連載の方は副題を付けてその後の物語を描くようだ。ということで一巻から時々描かれていた主人公にまつわる過去の話につらなった、コピーされた母親の人格探しは今後の連載で描かれることだろう。
最終巻の終盤は主人公の新たな旅立ちに向けての連続した話になったが、それ以前の話は一話完結で今でと同じだ。
ただし、だんだんと問題提起だけして結論ははっきりと描かず、読者にその答えを委ねるという話が多くなってきた。
それでいて物足りなさというのはそれほど感じないのは、そういった問題提起している事柄が僕自身、興味ある問題で、なおかつそれが簡単には答えの出すことのできない問題であり、それでも構わない、つまり答えを出すことが難しくても構わないと思っているからだろうし、作者の考えを押し着せるような描き方をしていないのも好感が持てる。
主人公がもう一つの仕事の方でモッガディートという名前を使っている理由というのは結局は明らかにされないままだったのだが、ジェイムズ・ティプトリー・Jrの「愛はさだめ、さだめは死』の主人公の名前から来ているはずなので、あらためてこの『AIの遺伝子』という題名はいい題名だよなあと思うのである。
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