僕が週刊少年ジャンプを読むようになったときにはすでに『ドーベルマン刑事』は連載中で最初から読んでいたわけではなかったが、毎週読んでいた。
特別好きな漫画ではなかったが、漫画雑誌の場合、掲載されている漫画は全て読んでいたので『ドーベルマン刑事』も最終回まで読み続けていた。でその後始まった『ブラック・エンジェル』もそのまま読み続けていった。こちらもそれほど好きな漫画ではなかったので単行本を買うまではいかなかったが、それでも最終回まで読み続けた。
外道といいたくなる悪人が何の罪もない市井の人間を苦しめるという展開は読んでいて気分がいいものではない。必ず主人公が制裁を食らわすといってもそれで気持ちが相殺できるわけでもない。
でも、平松伸二という漫画家は嫌いではなかった。
そんな平松伸二が自叙伝ともいえる漫画を描いた。
平松伸二の代名詞ともいえる「外道」という言葉がタイトルについている。
話は少年時代から始まる。
平松伸二少年が地面に鉄腕アトムなどの絵を描いているところに彼の母親がやってくる。
平松少年は母親に、将来は漫画家になると話す。
そこに蝮が襲ってくる。平松少年よりもいち早く蝮に気がついた母親は息子をかばい、結果腕を噛まれて倒れてしまう。
お母さんと叫ぶ平松少年と、倒れたままの母親の俯瞰した絵に、このことがあって蛇が嫌いになってしまったというナレーションがかぶる。
で、次のページだ。
次のページではいきなり時代が経ち、平松青年が東京へやってきた場面が描かれる。
母親はどうなったのだろうかという読者の気持ちなど置いてきぼりというか「いんだよ、細けえ事は!」という作者の声が聞こえてきそうだ。
それはともかくとしてその後の話を読んでいくと、平松伸二が最初からあのような作風だったわけではなく、あのような作風を要望されたから結果としてあのような作風になっていったのだということがわかる。
そういう点も踏まえて、自叙伝でありながら自分に要求される作風をきちんと守って外道らしさを取り込んで描いているってのはもう、凄いとしか言いようがない。
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