待ち望んでいた5巻が出た。
主人公ウルナが好きになった相手は戦場でウルナが戦った、いや3巻までで描かれた一方的な殲滅戦で滅亡させられた少数民族ヅ―ドの唯一の生き残りだったのである。
なんとも残酷な現実であろうか。
ウルナはその事を知ったのだが、恋人トマホのほうは彼女が知る以前からウルナが敵であったことは知っていた。
知りつつも彼はウルナのことを好きになってしまう。
二人の葛藤とそして二人がこのことに対してどのように折り合いを付けていくのかがゆっくりと丁寧に描かれていく。
殲滅させられてしまった少数民族ヅ―ドの存在は軍部によって伏せられており、この世界にヅ―ドという民族がいたことはもはやウルナとトマホの二人しか知らない。
ウルナの葛藤と同時に、自分の民族の存在がウルナと自分しか知るものがいないというトマホの葛藤も描かれていく。
そしてこのトマホの葛藤はトマホを闇へと引きずり込んでいく。
好きだから許すとか許さないといった単純なレベルではない感情が主人公たちの中に存在するのである。
ウルナは再び銃を手にすることになるのだろうか。
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