読む人を選ぶといえば選ぶのだが『無限の住人』を楽しむことのできた人ならば問題ないだろう。
バイオレンスとエロスとギャグがほどよく混じり合って、おそらくは沙村広明の特徴がもっともバランス良く組み合わさった作品だろう。
今回は正体不明の男と正体不明の女と主人公と同じ名前を持つ少女が新しく登場する。
登場人物紹介に載っているので彼らがなにやら今後の展開に大きな影響を与えてそして名も無き正体不明の彼らにも名前と目的が明らかにされていくのだろうと思いきや、予想は大きくハズレる。正体不明の男と正体不明の女は最後まで正体不明でそして怪しげな技の使い手である。『無限の住人』でみせた逸刀流の異様な技の数々を彷彿させるようなこれまたケレン味のある技を繰り出してくる。そんなケレン味のある派手なアクションシーンを見せ場としながらもその合間合間にギャグを噛まして、そしてそれが違和感をあたえることなく、そして流れを中断させることなくギャグでさえアクションシーンのメリハリの一つとして組み込んでいく。
読んでいてこの上ない面白さだ。
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