僕のジョバンニ 2

前巻の終わりが衝撃的な終わり方だったので、二巻ではどういう展開になるのかと期待していたのだが、まあそりゃそうなるだろうなという展開だった。
一色まことの『ピアノの森』が天才側から描いた物語であるのに対して、『僕のジョバンニ』は秀才側から描いた物語だ。
コンクールで優勝するなどしてそれなりに実力はあるけれども、そのコンクールでさえ、本命と言われる実力選手が参加していなかったので、運良く優勝できたというレベルの主人公。もちろんそれはそれで素晴らしいことではあるけれども、それなりの実力があるからこそ、自分の限界を理解し、天才の能力との差を知ってしまう。
どうあがいても勝てる、いや、そこまでの高みまで登ることすらできない相手を目の前にして、それとどう折り合いを付けるのか、という部分に焦点が当っていくのだろうけれども、二巻では一気に時間が経過する。
成長した二人が再び会合するまでの部分を描くのだが、秀才がどういう手段でもって天才に対抗するだけの演奏手段を持ち得たのかという点に関しては、なるほどと目からウロコが落ちる方法で、そこまで出来るのであれば彼もまた天才なのではないかという気持ちもあるけれども、しかし、計算によって生まれた音楽は天才の産んだ音楽とは異なるのであろうか。そういった部分に焦点があたるのかどうかは定かではないが、三巻が楽しみである。

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