テセウスの船 3

前巻で時折、真犯人のモノローグが描写されたのだが、依然として犯人が誰なのかということは明らかにされない。
明らかにされないまま、主人公は刑事に怪しく思われ、一方で自分の父親からは信頼を得ているのだが、だからといって全てを告白できるわけでもない。なにしろその後、父親は犯人として捕まえられてしまうことになるわけで、それを知らせることで歴史がどんな変化をすることになるのか予想もつかないからだ。
ということで主人公にできることはこれから起こる事件の数々を未然に防ぐことしかないのだが、ここに来て本来ならばもっと先に起こるはずだった事件が起こってしまう。
主人公が介入したことによって歴史が変わってしまったのである。
ここにきてなんとなくタイトルの『テセウスの船』がこの物語にどのように作用しているのか、全ての構成部品を新品に変えてしまったテセウスの船は変える前の船と同一であるといえるのかという命題との関連性が見えてきた。
と同時に、一連の事件の犯人が同一犯というわけではなく、全てを操る黒幕的な人物によって個々の事件が個別に起こされた、つまり実行犯は複数人いるかもしれず、それらを意図的に操る人物がいて、主人公はその人物と対決しなければいけなくなるということが明らかにされる。

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