淋しいのはアンタだけじゃない 3

音を出すことのできない漫画という媒体で音楽を扱った漫画は多い。
そして不思議なことに実際に音は出てはいないけれども、読んでいる間は音を感じる事ができる。
それとは逆にこの漫画は聴覚障害といういうなれば音の聞こえない世界を描くという難易度の高いことに挑戦していた。
ただ、聴覚障害と一口にいっても音が聞こえないから聴覚障害であるわけではなく、ある一定の音域だけが聞こえない場合も聴覚障害であるし、耳鳴りも聴覚障害である。その点でいえば無音を描くのではなく耳鳴りも含めて、音が異常に聞こえる世界を漫画という形で描くのだ。
丹念に取材を重ねて、聴覚障害の世界を描く一方で、佐村河内氏の問題にも深く切り込んでいく。
ただし、佐村河内氏の問題に関しては最初は友好な関係を築いていたが終盤になると取材も断られるようになり自然消滅に近い状況になってしまうのだが、それでも、作者は佐村河内氏を偽証と断罪するわけでもなく手に入った手がかりの中から、偽証ではなく、佐村河内氏のような症状もありうると結論する。
さらに耳鳴りに対する最新の治療方法とその原理についても描き、希望的な未来を示唆して終わる。

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