菜時記 葉月/甲午

統合失調症を発症していらい、人の大勢いる場所を恐れるようになった妻は、買い物に行くことも困難になった。
だから僕は妻の代わりに一週間分の食料品や日常品を買うために週末、一人で買い物に出かける。
普通の夫婦であれば当たり前のようにできることでも僕達夫婦にはとてもむずかしくなってしまったことは数多い。しかし不思議とそのことで不幸だとは思うことは少ない。
ただ、当たり前のことでもできないということを理解してもらえない時があり、そういう時は少しだけ悲しくなる。
菜時記 葉月/甲午
出かける間際に妻が巨峰が食べたいと言っていたので、それほど安くはなっていないが巨峰を買うことにする。こういうときに限って梨が安かったりするのだが仕方がない。
キャベツは1/2カットで108円と少し高い。しかし大きさが大きいので、これだったら仕方がないかと納得させて買うことにする。
長ネギは2本で213円と高いうえに長さが短い。次の店で買うことにしよう、悪くてもこの店と同じくらいの値段のはずだと思い、買うのは諦める。
ナスは3本で256円と高い。地元野菜コーナーに行くと、ナスが162円と安いのだがあまり程度が良くない。どうしようか悩んでいると、今は不作だからねえという声が聞こえて、なるほどそうかと買うのは諦める。そのかわりと言ってはなんだが、じゃがいもが6個ほど入って73円と異常に安い。なにかあるんじゃないかと思いつつも、見た目はどこも変なところもなく、騙されてもいいかと思い買うことにする。
続いて次の店へ。
駐車場が混んでいたので店の中も混雑しているかとおもったらそうでもない。
トマトは4個で429円と高いが、妻が好きなので仕方がない。長ネギはというとこれがなんと289円。想像以上の値段だった。しかし、よく見ると2本ではなく4本とか5本。もちろん太さは太くないけれども、この値段ならば仕方がないかという状態だったので、諦めて買うことにする。

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