ビューティフル・デイ

書店で見かけてなにげなく手に取ろうとして驚いた。平台に置かれていたの手に取るまで気が付かなかったのだが本が薄いのだ。
文庫にして120ページほど。映画化されたので翻訳されたらしい。
巻末の訳者あとがきを見てみると二つの言葉が目に入る。
武装したギャングを金槌一本で倒す男

ノワール
この二つだけで、騙されてもいいかと買う気になった。
拳銃社会のアメリカで金槌だけで武装した敵を倒すのである。映画化されても不思議ではない設定だ。絵になるはずだ。
しかしいっぽうで、下手すればギャグにしかならない設定でもある。どれだけ説得力をもたせるかなのだが、読んでみると有無をいわせない迫力がある。中編程度の分量なので物語はシンプルでそしてテンポが早い。いきなり主人公が棍棒で殴られ金槌で反撃する場面から始まる。
そこから主人公の仕事内容、仕事の請け負い方、主人公の過去と現在が語られていく。なにしろ金槌だけで戦う男なので凄腕である。しかしその一方で心が傷ついていて、平穏を求めて自殺することを考えている。生きることに対しての執着心がないので、読んでいて不安にさせられる。つまり、この主人公、最後は死ぬんじゃないのかと。
どんどんと残りのページ数が減っていくなか、事態は進んだページ数ほど進展はしていかない。じゃあどうなるんだと思っていると、そうかそんなところで終わるのかというところで終わる。なんだか連載マンガの打ち切りっぽい感じなのだけれども、そもそも中編である。こういうところで終わるのは悪くない。
あえてここで終わらしたってのは計算した結果なのだ。

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