バディドッグ 3

細野不二彦が人工知能(AI)に挑む。
ということで毎回毎回新作を発表するにあたって今までにないジャンルから題材を持ってきて相変わらず凄いなあと感心するばかりなのだが、その一方で、今回は人工知能である。
ちょっと不安にも思いながら読み続けてきたのだけれども、そんな不安は杞憂に過ぎなかった。
もっとも人工知能を扱っているからといって本格的なSFというわけではない。時代的には今よりもちょっと未来。2019年とほんの少しだけで、基本的に今と対して変わりはない。
アメリカ国防省が開発した人工知能があやうく人類滅亡寸前までの状況まで勝手に行動してしまったため、停止させようとしたのだが逃亡してしまう。
その逃亡した人工知能が向かった先は犬型ペットロボットの中だった。
そしてその犬型ペットロボットの修理部門の担当者相沢が面倒を見る羽目となる。
人工知能の目的はまだ定かではないし、人工知能の背後には謎の組織の気配があるのだが、今のところ物語には直接絡んでは来ない。
むしろ、物語は相沢とその家族の周辺で起こる日常の問題に終始する。
三巻では相沢自身が癌に侵されていることがわかり、その治療の話である。治療にあたって人工知能が学習して学期的な治療方法を見つけ出す、などといったことはまったくない。もちろんインターネット上のさまざまな論文を調べて効果的な治療方法についてアドバイスをしたりはするけれども、あくまでその範囲でしかない。
どちらかといえば人工知能が人と関わり合いを持つことで様々な感情や思考を学んでいくという方向に向かっている。もちろんそれだけの話しなのかといえばそんなことはなく、もっと大きな幅広い世界で人工知能と社会とのかかわり合いというものを描いて見せてくれるのだろう。

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