菜時記　長月/丙辰

統合失調症を発症していらい、人の大勢いる場所を恐れるようになった妻は、買い物に行くことも困難になった。
だから僕は妻の代わりに一週間分の食料品や日常品を買うために週末、一人で買い物に出かける。
精神障害を持つ人と共に生きるということは、僕の場合でいえば平穏と悲しみの間を行ったり来たりする生活である。楽しむということはとうの昔に捨て去った。
楽しもうという気持ちなど持たないほうが楽だからだ。
菜時記　長月/丙辰
妻のことに関しては相変わらず綱渡り状態で、どうなるのかもどうすればいいのかもわからない。これまで妻は料理はなんとかできていたのだが、これも難しくなる気もする。そうなると自分のことはさておき妻の食事のことも考えていかなければならず、妻の分の食事に関してもどうすればいいのか考えていかなければいけなくなる。
先週と同じく、妻がりんごと梨が食べたいというので果物を物色する。
りんごが105円だったので買うが梨は1個売りが無いので次の店で買うことにする。
アボカドが1個138円と特に安くも高くもなかったけれども1個の大きさが大きく、それほど熟してないものがあったので買うことにする。
キャベツは1/2カットで108円。わりと大きめで芯の部分が短いものがあったのでかごに入れる。長ネギはというと2本で276円と高い。地元野菜コーナーを見ても長ネギは売られておらず、次の店で買おうかどうか悩むのだが、この値段だったら次の店でもこれ以上の値段になることはないだろうと思い、この店で買うことは諦める。
アスパラガスが170円だったので少し悩むが買う。
レジで精算すると予想以上に安かったので次の店ではもう少し多めに買うことにする。
次の店ではバナナが106円だったので買う。目的の長ネギは267円と少しだけ安め。しかし細いとはいえ2本ではなく4本入っているのでこの店で買うことを決めてよかったと思う。