『宝石の国 8』市川春子

正直な話を言えば、ここ数巻は展開がゆっくりとしていて、読むのが苦痛なくらいだったのだが、我慢して読んできてよかった。
月人と宝石達の関係というのはわりと早い段階で示唆されていたのだが、そこからの展開はそういった謎の解決のほうへは向かわずに主人公がやたらと削り取られて他の宝石と結合されて、といった話になっていき、それがどういうところへと向かっていくのか見えずにもどかしい部分があったが、そちらのほうはまだ見えないのだが、前巻で主人公が月人に捕らえられ、そしてこの巻で月人の正体と目的と月世界の様子が描かれるという大盤振る舞いに大満足。少しづつ謎が明らかになるのではなく一気に謎が解明される、もっとも全てではないのだが、こういうやりかたは読む方としては気持ちがいい。
連載を少しずつ読むとか、単行本化されるたびに読むといった読み方よりも完結した後で一気に読むという読み方のほうが一番楽しめるのかもしれない。
とはいえども、今のところはそういった読み方ができるわけもなく、少しずつ読むしかないのだが、悲しくとも美しいラストに向かって終焉していくのだろう。そんな感じがする。

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