『ゴールデンゴールド 4』堀尾省太

大きく動いた前巻と比べると今回はあまり物語が大きく動いてはいない。
しかし一方で前巻で登場した主人公琉花の母親や刑事といった新たな登場人物が物語に積極的に関わるようになり、なおかつさらにフク、おそらくは福のことだろうけれども、個人個人の持っているフクの量を視ることができる人物が登場して、一気に物語に関わる人物が急増した。
その整理という部分もあるのかもしれないが、そういったわけで登場人物を増やしたうえで物語を整理してそして福の神の謎にも進展を見せるあたりはなかなか手際よい。
というか複雑になった人間関係がどのような勢力図を形作っていくのか気になる。
前作『刻刻』も登場人物の人間関係が複雑で多様でそのあたりの人の動かし方が面白かったのだが、今回もそういった趣がある。
福の神の方はといえば相変わらず不気味でなかなか正体を見せない。もっともこれが正体でそれ以外の姿というものはないのかも知れないが、一方で琉花のお祖母さんのほうも福の神以上に不気味である。
次巻はこのお祖母さんの若い頃のエピソードとなるようで、まさかそんなところに話を持っていくとは思いもしなかった。

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