ようやく、乙一の小説を読んだ。
正確に言えば乙一名義の小説といったほうがいいのだろう。
こんなことだったらもっと早くから読んでおけばよかったと思ったかといえばそんなことはなく、今から読み始めても十分楽しめるというか楽しみが増えたというのが読み終えての素直な気持ちだ。
『石ノ目』を買って積読にしてしまったのが今まで読まなかった原因なのだが、そもそも初期はホラー小説を書く人という位置づけで、ホラー小説は嫌いだったのだから、積読にしてしまったのも無理はない。嫌いなホラー小説を買っただけ大したものだと言い訳をしたいくらいなのだがそれはさておき、文庫化された『GOTH』は『夜の章』と『僕の章』との二冊に別れていて、順番的には『夜の章』、『僕の章』の順番で読まないと最後の話の面白さが激減してしまうのにタイトルだけ見た場合にどっちを先に読めばいいのかわからない不親切な本だ。
どっちから先に読んでもいいやと思う前にとりあえずネットで調べておいてよかった。表紙を見ればどっちを先に読まなければいけないのかはわかるのだが、電子書籍の場合はなかなかそういうわけにもいかないことがある。
第3回本格ミステリ大賞を受賞しただけあって、ホラー的な要素はあるものの立派なミステリだった。
読後感は『ジョジョの奇妙な冒険』に近く、後になって『ジョジョの奇妙な冒険』の後日談のノベライズを書いたのも当然だよなあと思った。
殺人鬼がうようよといる町で、なぜか殺人鬼の餌食になってしまう少女と殺人鬼を観察するのが好きな少年。二人がコンビを組んで殺人鬼と対決する話なのかといえばそんなことはなく、少女の方は自分が殺人鬼の餌食になっていたことに気づかないままだし、少年の方は暗躍するだけで殺人鬼を懲らしめるといったことはしない。
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