主人公たちの船が別の船と衝突し、修理しなければ航行が困難な状況に追い込まれる。しかし、修理をするだけのお金のない主人公たちは廃業しなければいけない切羽詰まった状態なのである。物語が始まって早々、まったく違った観点から危機的状況に追い込まれてしまうわけだが、そもそもの原因は主人公側にあるわけではなく相手側である。
ということで、そのまま立ち去ってしまった相手の船を探し出して、修理費用を請求しようということになる。運良く見つけることのできた相手は大金持ちの息子で、個人で所有する船でもって世界各地のドラゴンの生態を調べることをしている変人だった。
捕まえたドラゴンを調理して食べるという点では『ダンジョン飯』と同じなのだが『ダンジョン飯』は食べるということとモンスターの生態系を理論付けるという方向であるのに対して『空挺ドラゴンズ』はもう少し緩やかで、ドラゴンのいる世界を描くという方向である。
冒頭の危機もドラゴン狩りでの危機ではなく生活をしているうえでの危機で、登場人物たち一人ひとりもあくまで集団の中の一人に過ぎない。
空が舞台であることが多いこともあって、読んでいて開放感があって気持ち良い。
だた、主人公たちの行動はあくまでドラゴンを狩って生計を立てるというだけのことなので、物語を引っ張っていく強力な牽引力のあるものが存在しない。今のところはそれが心地よいのだけれども、この先、大きな物語のうねりが登場するのだろうか。
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