施川ユウキの漫画はギャグであってもどこかしら哲学的な部分がある。
ギャグと哲学とのうまいバランスが面白さに繋がっているのだが、最近は哲学のほうに徐々に踏み込んでいっている感じもする。
『オンノジ』もそんな感じであったが、まだバランスが取れていた。しかしこれが『ヨルとネル』になると終盤に向けてかなり踏み込んでいく。四コマ漫画という形態だったのでそれでもまだバランスは取れていたが、この『銀河の死なない子供たち』になると四コマ漫画という枠組みが外れ長編漫画となったため、思いっきり踏み込んでいく。
主人公のΠ(パイ)とマッキー、そして彼女たちの母親は不老不死だ。はるか未来の地球、三人以外の人間の姿は見当たらない。人類以外の他の生き物たちは存在するのにだ。一コマの間に数十年、数百年の時間が流れていく。
そんなある日、空から何かが落ちてきて、Πとマッキーは赤ん坊の子供を育てることとなる。Πとマッキーは不老不死で何年経とうとも成長はしないが、赤ん坊は成長し、そして二人よりも大きくなっていく。そしてやがては二人を残して死んでいくこととなる。
決して死ぬことのできない者と、いずれは死を迎える者。
ちょっとずるいなと思うのは、永遠に生きていかなければいけないということが先に前提としてあるために、不老不死への憧れよりも死への憧れのほうに向いていってしまうことだ。いや、あるいは不老不死が変化しないということど同意義であることから、変化するということへの憧れといったほうがいいのかもしれない。
死は変化の一つにすぎないのだろうか。
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