『バイオレンス・アクション3』浅井蓮次/沢田新

情け容赦ない暴力を振るうから恐ろしいわけではない。
何を考えているのかわからない、というよりも想像できない形の思考を行っていて、どんなに頭を働かせてもコミュニケーションの糸口すら見つけることが出来ず、会話が成立できないから恐ろしいのだ。
どう返答をすれば見逃してくれるのか、どう行動すれば相手の暴力を防ぐことができるのか、その答えを見つけることができない。
だから相手を倒すしかないのだ。
前巻で登場した敵もその一人。
そしてとてつもなく強い。
今回はスナイパーが味方になり、以前に敵として戦った人物も今回は味方となってくれる。三対三の戦いなのだが、勝ち目はあるのか。
コミュニケーションを取ろうとしているかのようにみえて、それはまやかしでほぼ一方的な会話でしかなく、つまるところは、倒すか倒させるかでしかないので、単に戦いの様子だけを描くだけでもいいところなのだが、戦っているだけでは恐ろしさは伝わらない。
時々垣間見せるやさしさ、のようなものがあるだけに、次の瞬間にはそこから一気にかけ離れた世界を描くことで、その落差の激しさが突き刺さってくる。

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