もう少し続くかと思っていたが6巻で完結した。
これまで敵と戦って戦って最後には死にたいといっていた主人公レイリが前巻で生きたいと決意をし、そこから物語は大きく動いていくのだろうと思っていたが、しかし史実では武田信勝は16歳で亡くなっており、その信勝の影武者として雇われたレイリはどうなっていくのかといえば二つに一つだ。影武者としてその職務をまっとうするか、それとも影武者としてのお役目は途中で終わるか。前者であるとすれば影武者として生きたあとで史実通り死ぬこととなるだろうし、後者だったら生き延びる。
6巻に入って事態は急変して、なるほどそういう方向へと進んだかと思う半面、これじゃあ死亡フラグが立ってしまったじゃないかとモヤモヤとしてしまうのだが、殺伐とした展開の中、主人公を含め登場人物たちはどこか飄々として、あまり殺伐さを感じさせない。この点では原作者である岩明均の雰囲気がよく出ている。なかなか漫画を描いてくれない岩明均を補ってくれるかのような感じで岩明均が描いてくれなくても室井大資が漫画を描いてくれれば大丈夫じゃないかと思ったりもする。
しかし室井大資も室井大資で原作を担当している『バイオレンス・アクション』のほうが連載がストップしたままなので遅筆な部分まで真似しなくてもいいじゃないか。
それはさておき、1巻から通しての主人公レイリの心の揺れ動きとその変化の部分は全6巻を通してこちらの心情にうまく突き刺さって、見事な物語として着地してくれた。
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