読まないといけないなあと思いつつも積読のままだったのだが、ようやく手を付けたら評判通りの面白さだった。
犯罪小説なんだけれども、過去の話と現在の話が交互に進んでいく。
過去のパートは銀行強盗の話で現在のパートは銀行強盗が盗んだ金を取り戻す話だ。対極的な話で両方共面白いのだからずいぶんと贅沢な物語でもある。
主人公はゴーストマンと呼ばれている。
隠語で、犯罪の痕跡を消しさる役目の人間のことを指す
犯罪の痕跡を消し、犯罪者の存在を消し、そして自分自身も消し去る。誰にでもなることができ、そして誰でもない。
それ故に仲間となる人間はおらず、もちろん犯罪の過程においてチームを組むことはあるが、それもその場限りである。
そんなわけだから友情とか恋愛といった要素はなく、ただひたすら任務の遂行に物語は奉仕して、そして完璧と思われる主人公に次々と苦難が訪れる。
あえて難点をいえば、主人公が超人すぎるところで、とはいえども前述したとおり、そんな主人公でも厄介な状況に置かれるのでその点では出来すぎという印象はない。ただ、必要とあれば殺人も平気でしてしまう部分が少し気に入らない点だ。
それはともかくとして作者が若くして急逝してしまったため、この主人公の物語があと一冊しかないというのが残念だ。
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