主人公は高校一年の男の子。通っている学校から近いということで家を出て、叔父さんの住んでいるシェアハウスで生活をすることにする。
主人公の叔父は会社員として働いていたが漫画家としても活動をしている。そして会社のほうは少し前にやめてしまって漫画を描くこと一本に絞っているけれど親戚にはそのことを黙っている。シェアハウスには主人公と叔父さんのほかにも住んでいる人がいるが彼らも叔父さんと同様一癖も二癖もある人物ばかりだ。唯一の例外が榊さんという女性だが、それでも彼女も独特の考え方をする人だったりする。
そこで終わっていれば物語にはなるはずもなく、榊さんと主人公の間には当人同士ではなく彼らの親が深く関わっていた。主人公の父親と榊さんの母親はかつて不倫関係にあったのだ。そのことを知っているのは榊さんだけで主人公はそもそも自分の父親が不倫をしていたということすら知らない。しかしこのシェアハウスで生活をするようになってしばらくしてそのことを知ってしまう。
複雑な人間関係と複雑な心の機敏がタイトルにあるように緩やかに流れる水のような感じで描かれていく。しかしけっしてドラマティックな展開にはならない。おだやかで、それでいて水面下では猛りまくっているような感情。だからだろうか、ずっと読み続けていたくなる。
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