『惑星の影さすとき』

『無限大の日々』につづく八木ナガハルの二冊目の単行本。
一話単位で電子書籍として販売されていたけれども、やはりこうしてある程度まとまった形で読むことができるのはありがたい。
同人活動だけだと思っていたら商業誌にも掲載されていたことがあったようだ。ということで今回のこの本では前半が商業誌に掲載された話となっている。
今回も前作と同じ世界感でドキュメンタリー作家鎹涼子がときどき登場する。
一読した感触では商業誌に掲載された作品のほうがまとまっている感じがある。と書くと同人誌として発表した方は駄目なように感じてしまうかもしれないが、良し悪しではなく同人誌の方はそこで終わってしまうのかというところで終わってしまっている話が多いだけだ。その続きは多分これから描かれるのだろうか。
冒頭のじゃんけんで999連勝するという話は、999連勝するのにどのくらいの挑戦者が必要になるのかという部分を律儀に扱っていて、いや、そこまで考えたことがなかったので、恐れ入りました。その一方で、棒通信なる、どんな距離があってもタイムラグなしに通信することのできる方法などがさらりと登場していたりして、小ネタの部分も面白い。
地球を貫通するトンネルを掘るという話なども、ただ単純に穴を掘るとどういうことが起こるのかということが描かれていて、まあそれだけの話といえば話なんだけれども、ハードSFとして面白い。

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