タイ語の翻訳の仕事をしていた主人公が仕事の契約を打ち切られてしまったために親戚のつてを頼ってとある島に移住してきたところから物語は始まる。その島ではときどき謎の金属片がみつかる。四角や三角あるいは星型と何かの部品のようで、しかしその島ではそういった金属片が見つかるのは日常茶飯事のことだったので誰も気にしていなかった。
しかしこの金属片は、特定の金属片どうしを組み合わせると奇妙な動きを見せるという不思議な性質があった。
しかしそういった不思議な事柄が起きているというのに物語はゆったりとのんびりとそして平穏に進んでいく。
正直いえば二巻まで読んだ時点ではちょっと自分の好みからはずれるなと思っていた。しかし長く続くかと思っていたら三巻で完結ということで、謎の金属片がどういう形で決着がつくのか読んでみたら十分に満足してしまった。
金属片がなにかの精密部品として整った形をしていることも含めて、ここまでに至る過程で張り巡らされた伏線は回収されて、ちょっと都合が良すぎるんじゃないかと思っていた部分も、これだったらそうなるよなあと納得させられるし、話の広がり方が自分の想像していた方向とは違う角度に広がっていたこともあって作者にまんまとしてやられたという感じだ。
『マグネット島通信』伊藤正臣
![](https://still-blue.com/hp/wp-content/uploads/2023/12/12.png)
コメント