『バトルグラウンドワーカーズ 1』竹良実

『辺獄のシュヴェスタ』が評判がよくっていつかは読まないといけないなあと思いつつ手を出さないままで、その後読み切りで発表された中編「不朽のフェーネチカ」が単独で電子書籍化されたのでそちらのほうは読んだのだけれども、たしかに面白い話を描く作家だなあと感じたもののそれっきりになってしまっていた。
そしたら『バトルグラウンドワーカーズ』が出た。試し読みで第一話を読むことができたので読んでみて、そしてそのまま買ってしまった。
それくらい面白そうな話だった。
ある時突然、謎の生命体「亞害体」の侵略を受ける人類。苦心して撃退に成功して再び平和が訪れた、かのようにみえるのが、実は「亞害体」の侵略は続いていて、都市部には侵略されていないけれども人のいない辺境の地ではいまだに人類と「亞害体」との戦いは続いていた。
主人公は30歳を迎えた男性。30手前にして以前の職を失い無職となったために、「亞害体」と戦いを続けている人類連合の職員募集に応募してそして合格する。そして主人公は遠隔操縦方式の人形兵器に乗り込み「亞害体」と戦うことを職業とする。
あくまで地に足のついた、というか人類を守るということを職業としてそこに就職し、戦うこと以外にも事務作業を行ったりと、そういう部分にも焦点を当てているところが今までになかったものだと思う。
そして遠隔操縦ということで負けても死ぬことはない、という前提でありながら、遠隔操縦するためには神経接続をしなければならなく、それ故に痛みのフィードバック、つまり攻撃を受けて破壊されるとその部位に該当する部分に痛みを感じてしまう、さらに接続を解除する前に破壊されてしまうと死んでしまう、そしてそれを防ぐために強制解除という手段もあるけれども、脳に負担がかかるために五回までしか許されていないという制限事項があって、それがドラマを盛り上げる要素になっている。
もちろん「亞害体」の謎という要素もあるのだけれども、そんなものさえどうでも良くなってくるほど基本設定の部分が面白い。

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