2018年に亡くなった狩撫麻礼の追悼本が出た。
正直言えば僕は狩撫麻礼の良い読者ではない。そもそも今まで読んだ狩撫麻礼原作の漫画の数を数えてみると両手で足りてしまう。
狩撫麻礼の手掛けた漫画が少年誌ではなく青年誌が中心だったのとSFやミステリから離れたジャンルの漫画だったせいだ。
しかし、ほとんど読まなかったのに狩撫麻礼という名前は頭の片隅に存在し続けていて、どこか気になる漫画原作者だった。
それは多分、最初に読んだのが大友克洋の短編の原作を手掛けた、そしてそれが狩撫麻礼の漫画原作者としてのデビュー作品だったからだろう。知らず知らずのうちに僕は狩撫麻礼のデビュー作品を読んでいたのだ。
それから再び狩撫麻礼の作品に触れるのはかなり時間が経ってのことだ。なにしろ木崎ひろすけの『少女・ネム』だったから。この作品では狩撫麻礼名義ではなくカリブ・マーレイ名義だったけれども、漢字をカタカナになおしただけなのでいくら僕でもああこれは狩撫麻礼だということは予想がついた。
まあそれはさておいて、この本はものすごく贅沢でそして狩撫麻礼に対する愛の詰まった本だ。読んでいて心が暖かくなる。
そう、たかが漫画といえどもこんなにもたくさんの物語があって、そしてさまざまなドラマがある。
そしてこの本を片手にまだ読んでいない狩撫麻礼が書き続けた物語を少しづつ読んでいこう。
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