『オンブレ』エルモア・レナード

西部劇というのは好きなのだが、その一方で時代劇はそれほど好きではない。
なぜなんだろうと思うこともあるが、西部劇というのは基本的に勧善懲悪でだったら時代劇も『水戸黄門』などは勧善懲悪なのだから同じじゃないかと思うのだが、西部劇での善の側って基本的には権力者じゃないのに対して『水戸黄門』にしろ『大岡越前』にしろ『遠山の金さん』にしろ権力者で特に『水戸黄門』なんて権力の頂点に近い。
ようするに権力を傘にして悪を懲らしめるということで、ちょっと卑怯というかだったら勝って当然だなと思う。一方で西部劇の場合、保安官が善の場合もあって、保安官だから権力を行使できる側じゃないかと言われればそうかもしれないけれども、西部劇で登場する善の保安官は権力よりも銃の腕前で勝負をする。頼れるのは己の力のみという部分にやはり共感を覚えるのだ。
ということでエルモア・レナードの西部劇小説がなんと村上春樹の翻訳によって出版された。
最近だと逢坂剛の西部劇小説が文庫化されたりしたけれども、海外の西部劇小説が翻訳されるというのはちょっとめずらしいと思う。そもそも西部劇が流行っているわけでもないのにだ。
表題作の『オンブレ』だけでも十分だと思うのだが、「三時十分発ユマ行き」という短編も収録されている。二本立ての映画といった感じでもありお得感が満載だ。

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