横田順彌といえば僕にとってはヨコジュンでありハチャハチャSFの人だった。
最初に読んだのはなんだったのか思い出すことができないのだが、ハチャハチャSFのどれかでそれ以外の話ではなかったのは確かだ。
初めてヨコジュンのハチャハチャSFを読んだときの衝撃というのはもうとてつもないもので、世の中にこんなにも笑える面白い話があったのかと思ったもので、だからそれ以降、ヨコジュンがシリアスな話を書こうが、古典SFに関する話を書こうが、明治物を書こうが、僕の中ではそれは違うヨコジュンだった。
もっともそれは作者にとってはいい迷惑な話だっただろう。
しかしだからだろうか、ヨコジュンは傑作を書くことができなかったんだろうなあと思ってしまう。
どこで読んだのか忘れてしまったのだが、誰かがヨコジュンについて、ヨコジュンはあまりにもSFに詳しすぎるので普通のSFを書くことができない、という文章を読んだことがある。多分これもおんなじことを言っているのだろう。そんな気がする。
そんなわけで<ポエム君>シリーズとか、『小惑星帯遊侠伝』とか『星影の伝説』とか『火星人類の逆襲』も読んだけれどもどこか違う、という印象を拭うことができなかった。
だから多分僕にとってのヨコジュンの最高傑作は『山田太郎十番勝負』になる。
それにしてもこの本は贅沢な本で、今日泊亜蘭のインタビューまで収録されていて、最後の最後までヨコジュンには楽しませていただきました。
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