『70億の針』の多田乃伸明の新作。
随分と久しぶりだなあと思ったのだが僕が気がつかなかっただけで『70億の針』以降にも二作ほど作品を発表していたようだった。
どれもSFなのでそのうち読もうと思っているが、まずは今回の新作のほうだ。
今回は表紙の主人公らしき人物の衣装からしてSFというよりも時代物っぽい。そもそもタイトルに鬼という言葉が使われているのだから日本を舞台としたものだろう。
という程度の先入観で読み始めていくと随分と印象が変わっていった。
舞台は日本らしいのだが、主人公の名前はアモで日本人っぽくない。時代的には江戸時代っぽいのだがそれさえも定かではない。まあそのあたりは厳密に時代を特定させなければいけないというよりも和風ファンタジーと捉えればいいのだろう。
何しろこの世界の少なくとも一部は山神が支配していて、山神の定めた決まりごとを守らなければ生きていくことのできない世界なのだ。そしてこの山神はワガママで自分の気に入った男を自分のそばに置こうとする。
一方で主人公のほうもただの人間ではなく山神の持っているような能力を持っているようでこの巻ではまだその謎は明らかにはならないけれども、テンポよく話が進んでいく。
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