『暗くて静かでロックな娘』の解説で、同じ作者の『或るろくでなしの死』の中にSFに含めてもかまわない短編があると書かれていた。
基本的に平山夢明はホラー系の作風の人なのだが、SFよりの作品も書いている。で、『或るろくでなしの死』は読んだのかと記憶を呼び戻すのだが読んだという記憶がない。
で、買った本リストを見直してもそんなタイトルの本はなくって、うっかり見逃していたのかとおもいつつ、欲しい本リスト、つまりまだ買っていない本リストの方を探してみるとしっかりと登録されていた。
欲しい本と買った本とをこうしてリスト化しておかないと買い忘れてそのままになってしまったり、すでに買ったのにもう一度買ってしまうような羽目になるくらい記憶力は衰えている。
それはさておき、どうして欲しい本リストには登録しておきながら買わなかったのだろうかと思いつつ、どこの出版社から出ているのか調べてみたら角川ホラー文庫だった。
ホラーが苦手なので見逃した理由もなんとなく納得できる。
しかし、今回はSFよりの作品も含まれているという情報を手に入れているので買うしかない。
目次を見ると、「或る○○○の死」というかたちで統一されている。
死ぬのはろくでなしだったり嫌われ者だったり英雄だったりする。
しかしここで描かれるのは生命としての死だけではない。愛情だったり友情だったり、ようするに失われるというかたちも死として捕らえられている。
が、角川ホラー文庫として出版されているだけあって、いや、物語の最後には何らかの死が待っているだけあって読んでいると陰鬱な気分になってくる。どうしてこんな物語を好き好んで読まなければいけないのだと思ったりもするのだが、その一方で言葉としての破壊力が凄まじく、平山夢明が紡ぎ出す言葉によって一方的に殴られっぱなしの状態というのは時として気持ちよかったりする……ような感じさえしてくる。
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