地球規模の環境異変で大寒波が訪れ、人類は滅亡の危機に瀕する。
主人公はとある財閥の御曹司でイラン支社の支店長を任されている。一部の人達は温暖地方に逃げ延びているが主人公たちはそこまで行く手段もない。
ただ、主人公は大寒波が訪れることを予測していて、その大寒波はおよそ一ヶ月、会社の地下にシェルターを作り、科学者に人工冬眠の技術を開発させていた。
主人公とその妻と息子は地下シェルターに避難し、大寒波が終わるまで人工冬眠に入る。
しかし主人公が目覚めたのはそれから500年後。妻と息子は途中で装置の電源供給が途切れてしまったため人工冬眠中に死亡してしまう。
自分一人だけ助かってしまった主人公は自殺を図ろうとするが、彼には日本の残した娘がいた。
もちろんあれから500年も経過しているので大寒波を生き延びたとしても生きているはずもないのだが、どうせ死ぬのならば故郷に戻ってみようと決意する。
ということでポスト・アポカリプスものになるのだが、いたるところで山田芳裕のセンスが炸裂している。
かつて『度胸星』でSF的なセンスを見せつけてくれた山田芳裕だが、この作品でもその片鱗を見せつけてくれる。SFとして描くのかそれともSF的なものは設定の部分だけなのかどちらかはわからないが、作者がSFとして意識していなくてもSFとして十分に面白い。
むしろSFとしてよりそうよりも作者が描きたいままに描いてくれたほうが面白いだろう。
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