『BEASTARS』史上最強最悪の悪が登場して、そしてそれが主人公レゴシと同様、異種族間の婚姻における混血ということでそれはレゴシも同様に悪への、というか善悪という以前にどこにも属さないことによる不安定さによる、この世界への憎しみでもあるわけだが、レゴシもそういった方向へと進んでいく可能性もありうるということで随分と主人公を追い詰める作者である。
しかし、それ以前においてもレゴシは追い詰められそして悩み、その都度、答えらしきものを見つけてきた。
主人公を追い詰めることによって作者が作り上げたこの世界の矛盾とか、歪といった部分が少しずつ明らかになっていき、明らかになっていくごとにこの世界は現実味を帯びていく。
しかし、それにしても主人公は随分と傷ついていくなあ。なにしろ前回は自分の歯をすべて折ってしまうし、さらには重症を負う。で今回もまた傷つくし、その一方でどこか深刻にならずに飄々としたところがあるので、読んでいてもそれほど痛々しくは感じられないのが救いかもしれない。
いったい、どこまでこの世界を広げていくのだろうか。
コメント