知らない作家だったけれども、書店で見かけてこれはひょっとしたらと思い買って読んでみたらひょっとした。大正解だった。
韓国の高校を舞台としてその高校で養護教師として働いているアン・ウニョンの事件簿。日本でいえば保健の先生にあたるのだが、韓国の場合はもう少し医療よりらしい。しかしそのあたりはまったく知らなくっても問題ない。
このアン・ウニョン先生、生まれながらに特殊な能力の持ち主で普通の人には見えないものが見える。さらにはこの見えないものに対して物理的なダメージを与えることができる。さてこの見えないものはなんなのかといえば、人の思念だったり、霊的なものだったり様々で、そういったものが悪さをしないように事前に察知しては人知れず対処しているのがアン・ウニョン先生だ。しかしだからといって彼女が善意からしているのかといえば必ずしもそうでもなく、そういう生き方しかできないから仕方なくしている。
一方で彼女が務める学校にもいわくがあって、彼女と行動をともにする漢文の先生の祖父がこの学校を立てたのだが、この学校の立っている土地になにかあるらしい。そしてそれは思春期の高校生の生々しい感情をエネルギーとして時として増大していく。
アン・ウニョン先生はおもちゃの剣とBB弾の拳銃でもってこれらに立ち向かうのだが、事件そのものはそれほど重大なものではなく、時としてなにも解決していないのにごまかして解決したことにさせたり、なにも事件が起こらない話があったり、わりとゆるいテンポで進んでいく。
アン・ウニョン先生と漢文の先生との仲も恋仲になっていくのかならないのか、もどかしい以前に、二人の関係は腐れ縁的な感じで進んでいくし、まるで韓国ドラマみたいだなとおもうのだが、そもそもこれは韓国の作家による物語なので韓国ドラマっぽくって当たり前だなあ。
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