とあるアパートの一室を舞台とした物語なのだけれど、とことんまで追求し尽くしたという感じがすごい。
まず最初にこのアパートのその部屋に入居した人々の様子が描かれていくのだが、これがこのアパートの最初の入居者から最後の入居者まで総計13人。実際には家族や同居人、友人も登場するので登場人物の数はそれ以上となるけれど、時系列はランダムにこの部屋に入居してまず感じる、間取りのおかしさという部分が語られていく。そしてこの第一章が終わるとその後に初めて目次とこの変な間取り図が登場する。この時点ですでにおかしな小説だけれども、そこから台所、4畳半の部屋等、この変な間取りの部屋のそれぞれの場所を舞台として、13人の入居者の人々のその場所で起こった些細な出来事あるいはとんでもない出来事がこれまた順不同でしりとりのようなあるいは連想ゲームてきな感じで語られていく。
そこになにか壮大な物語があるわけでもなく、いやごく一部の住人は犯罪者だったりするので、ちょっとドキドキしたりするけれども、けれども登場人物たちはあくまで順番にこの部屋を借りていった人たちなのでそれぞれの人達のあいだに繋がりはまったくない。しかしつながりはまったくないけれども、同じ部屋で過ごしたということはこれまた連想ゲーム的なつながりを感じさせて、最後の住人の様子が描かれる最終章までくると、ああ、ここでこの物語は終わってしまう、いや物語というのは突然に終わってしまうのだと思いふけることになる。
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