同名の映画のノベライズ、ではなく漫画だ。しかも監督自身がコミカライズしている。
映画のほうは見ていないがタイトルに惹かれるものがあったことと、文庫で漫画という部分にも興味があった。もちろん文庫サイズの漫画は珍しいものではないのだが。しかし、最初から文庫サイズを想定していたのかコマ割りも一ページに三段と一段少なく、その分一コマが大きくなっていて見やすい。
漫画として面白いのかという以前に、漫画としてのもコマ運びは拙く、決してうまいとはいえないし、主人公の二人の描き分けも時々微妙だったりするけれども、まあそれは最初のうちだけで、読みすすめていくとそれほど気にはならない。おそらく、序盤の物語があまりおもしろくなく、主人公たち二人の物語が動き出してからのほうがおもしろいという理由も多分にある。
田舎から東京に出てきて結婚もし、CMディレクターとしての仕事もそれなりにこなして、過不足ないはずの主人公。しかしどこかであちらこちらに歪みがあってどこか不満を抱えている。祖母が入院したという連絡も入るのだが、地元には帰りたくもない。そんなとき後輩が帰りましょうと彼女を地元に連れて行ってしまう。嫌いな地元で嫌いな部分を見せつけられながらもその一方で後輩はそんな彼女の地元を楽しんでいる。
なんだかんだいって主人公は嫌いな地元を受け入れ、そして今の自分も受け入れる。そんな結末になるのだろうかと思っていたら、少し違った。最後の最後に後輩はもうひとりの主人公だったのだ。
そうかそういうことだったのか。
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