『嗤う猿』J・D・バーカー

前作が物語単体としてはきっちりと完結していて、ただし真犯人は逃げ延びてしまったのでシリーズとしては続くことがわかっていたけれども、じゃあ次作はどんな話になるのかと想像すれば前作とは無関係な事件になるかと思ったら違った。
いやはや、前作での連続殺人事件でのミッシングリンク、つまり被害者たちがどういうふうにつながっているのかという部分において、前作の謎解きで解決したのだと思っていたら、まさかそういう部分にほころびがあったとは、気が付きませんでした。
こちらのあさはかな読み間違いとはいえ、ひょっとして最初から次作の構想を考えたうえで一作目を書いたというのだろうか。
ということでしょっぱなは軽く小粋な見せ場をつくって掴みは抜群、でそこから新たな殺人事件が起こって、これまた被害者に対して奇妙な施しがなされていて、その行為は悪く言えばそんなことしていたら誰かに気が付かれてしまうだろうと思うようなことで、それはその後に続く犯行でもそのとおりなんだけれども、まあそこはそれ、運良くうまくいったということで気にしないことにするのだが、じゃあ今回の犯行が前作とつながりがあるのか、という部分については、犯人視点の物語が挟み込まれるのでわりとよく分かる。
このあたりは手がかりの見せ方がうまいなあとおもう。
で、肝心の部分は真犯人と主人公との関係で、読んでいくうちにひょっとしたらひょっとするんじゃないかという予想がピタリと一致して、え、そこで終わってしまうのと、事件は解決するけど謎は解決しないまま今回は終わってしまう。
最終作は今年の秋ということで、それまで待たないといけないのがつらい。

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