『バビロンまでは何光年?』道満晴明

道満晴明版『銀河ヒッチハイク・ガイド』
地球は破壊されていて、主人公は唯一生き残った最後の地球人。救命装置で眠っていたところを地球の文化に興味を持っていた異星人に助けられ、それ以降彼らとともに旅をしている。
のだが、『銀河ヒッチハイク・ガイド』以上に一筋縄では行かない展開をする。そもそも道満晴明の描く漫画なので下ネタは満載だ。唯一生き残った主人公は自分が最後の地球人であるということから本能的に種族保存の強迫観念に襲われ続けている。言われてみれば納得する行動だ。
しかし、この世界には様々な種族がいるとはいえ、地球人と遺伝子的に共通要素のある種族がそう簡単にはみつかるはずもなく、主人公の苦難は続く。おまけに主人公は自分がなぜ生き残ったのか、救命装置に入ったのか、さらには自分の名前さえも思い出すことができない。
そんな主人公の謎を縦糸にしながら、主人公たちの珍道中は進んでいって、なにやらすべての謎を知る四次元人の存在があきらかになる。
丁寧に貼られた伏線が終盤になって次々と回収されていく手際の良さはいつもの道満晴明で、さらにはSF的な大ネタもしっかりと仕込んであって、そしてギャグ満載でありながらもしんみりと、ちょっぴり切なく、ああ、ちょっと卑怯じゃないかというくらいにきれいに終わる。

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