主人公たちのグループはいわゆる落ちこぼれ集団で戦闘でも使い捨てとしての役割しか与えられないのだが、それでも徐々に主人公を中心としてグループとしてのまとまりができつつある。
あいかわらず敵の存在は謎のままだが、前巻から敵にもリーダー的な存在がいて、そのリーダーを中心として人類側を苦しめている敵グループが登場する。一方で人類の側もこの存在を見過ごしたままでいるわけでもなく大規模な作戦行動が開始される。
そういった大枠の部分の物語と並行して主人公を含めた主要人物たちの個々の生活や人生がエピソードとして描かれていき、徐々に物語は重層化していく。
そのなかで今回、感銘をうけたのが、作戦行動途中で命令を聞かずに自分たちだけで勝手な行動を取ろうとしたグループに対して、作戦リーダーがお前たちの体はこちら側にあるのを忘れるなと怒りに任せて叫ぼうとするのを主人公が、それを言ってしまったらすべてが水の泡になってしまいますと止めるシーンだ。
主人公たちは意識だけをロボットに転送して戦うので肉体は戦場からはなれた安全な場所にある。もちろん制約があって意識の遮断が正常に行われないままロボットが破壊されると意識が戻らず死んでしまうのだが、それでもそれ以外であれば肉体は安全だ。したがって、命令違反をした場合に、肉体は他者によって破壊されてしまう可能性は常にある。主人公たちは安全なように見えて肉体を担保にしているのだ。
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