不眠症の少年と少女の物語というずいぶんと変化球で攻めてきた物語だ。
とある高校を舞台として、その高校にはその昔、天文部があったのだけれども、天文部員の女生徒が失恋したことで自殺してしまい、さらにはその女生徒を密かに恋していた同じ天文部員の男子生徒が精神を病み、と立て続けに天文部員に不幸が訪れたことから天文部は廃止になってしまい、それ以降、校舎の屋上に設置された天文施設は物置と化し、そこには死んだ生徒の幽霊が出ると噂されるようになり近づくものもいなくなってしまった。という発端から主人公の男子生徒はふとしたことでその天文部室に訪れなければ行けない状況になり、そこで一人の女生徒と出会う。
彼女も主人公と同じく不眠症で、唯一安心できる場所としてこの天文部室で睡眠をとっていたのである。そして主人公もその場所でようやく眠ることができるのに気がつく。
と不眠症が結びつけたボーイ・ミーツ・ガールの物語で、いやはやよくこんな設定を思いついたものだと感心してしまう。
ボーイ・ミーツ・ガールといってもまだお互いにお互いのことをそれほど意識はしておらず、その萌芽が垣間見えるだけなのだが、まあこのあたりが一番面白いところなのだ。
コメント