『ヒナちゃんチェンジ 3』梶川 岳

三巻できれいに完結した。
一巻目は女の子の視点からの物語で、二巻目は男の子の視点からの物語。もちろんそれは完全に分離しているわけではなく、相互に重なり合うようにお互いにお互いを補完しつつ、物語全体としてはより危うく絶望的な方向へと進んでいった。
いったいこの物語がどんなところに着地するのかハラハラしながら続巻を待っていて、そして読んだ。
ああ、なるほど、そこか。
いや、中盤まではあり得たかもしれない一つの結末を示唆する方向に進みながらもそれは絶望的で、しかしその後の展開で主人公たちにとっての現実としての世界に舵をとりなおして、軟着陸をする。
そこに至るまでの罪と償いという問題に関しては、正直言えばこの展開はちょっと卑怯なんじゃないか、つまり曖昧なままに別方向へと取り舵をとってしまった気もするけれども、しかしそれは些細な問題でもあって、絶望しか考えられない物語をこういった方向に展開させていって、それが力技に見えないところはうまさであって、お互いに成長したんだからそれでいいじゃないかと感じさせる。