『BABEL 6』石川 優吾

舞台は鹿児島、いや薩摩に移り、ようやく犬田小文吾と合流した犬塚信乃だけれども、まだお互いに八犬士であることは知らない。知らないままに謎の儀式「ひえもんとり」が始まる。儀式というか人狩りである。
一同に集められた市井の人間を城下町内に逃し、武士たちは彼らを追い、そして腸を食らうのである。
なんともおぞましい行為で追われる立場になってしまった犬塚信乃と犬田小文吾は生きるために逃げる。
まあ読者としては彼らが珠の力でもってなんとかするというのはわかっているけれども、そもそも薩摩の城主である島津の殿様の姿が異形で彼もまたなにかに取り憑かれているのか異形の力を持っている。
最終的にはこの殿様をなんとかするしかないのだが、ここにきてド派手な展開が待ち構えていて、いやこの段階でこんな場面を描いてしまうのかと心配になるくらいなのだが、それ以上に敵の存在の不気味さと、この戦いの果てに待ち構えている悲劇の予感が悲しくもある。

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