はじめに

私の伯母は心の病になり40年以上入院し、晩年は一歩も病院の外へ出ることなく入院先の病院で生涯を終えました。
父方の祖父も心に病を負っていたらしかったのですが、祖父に関してはほとんど何も知りません。
統合失調症という病に関しては『ブラックジャックによろしく』という漫画を読んでいたので、どのような病気なのか、そして精神病という病に対する世間の偏見の多さも理解はしていました。そして、私自身できるだけ偏見を持たないように努めていました。
しかし、知識はあくまで知識にすぎなく、身近なところでこの病に出会うことがなければ、知識も薄れてしまいます。
そのような状態ですからあるとき突然、家族がそのようになったとき、その兆候を察し、それが病気であることを理解してあげることなどできない状態でした。
正しい知識がなければパニックに襲われます。
私も、妻が統合失調症であるということに気づくまで、パニック状態でした。
もっとも、気づいた後でも知識に乏しく、途方にくれる日々をすごしています。
ネットというのは間違った情報もあれば正しい情報もあります。
統合失調症掲示板の存在が私を真っ先に助けてくれました。
同じ境遇にいる方の声がこれほどまでに私を勇気付けてくれるとは思いもよらないことでした。
そして、妻と私の個人的な記録が、病で悩んでいる方の心の励ましに少しでもなればいいなと、この記録を公開することにしました。
この病気は本人に病識があるということが少なく、妻は自分が心の病だとは思ってもいません。
そして私自身も、統合失調症の可能性が高いとは思っていますが、統合失調症ではない可能性もあると思っています。しかし、病名がなんなのかはっきりさせることなど私にはとってはどうでもいいことで、私が望んでいるのは妻を苦しみから救ってあげることだけなのです。
そしてそのために、一番可能性が高く、早めに対処しなければいけないことから対処しようとしているだけなのです。
そんなわけで、これは妻の変わりに私が戦わなければいけない病気の記録であります。
最近、私の父は、最悪の事態も考えて行動するようにしろというようになりました。父に言われるまでもなく、今まで私はそのようにしてきていました。それは私が心が弱い人間で、予告なしに降りかかる困難にとっさに対処できない性格だったからなのですが、ここに来て、最悪の事態を想定することがおそろしくなりました。想定したからいってかならずしも我慢できたり対処できたりすることなどできるわけがないのです。途方にくれるという以前に、打ちひしがれてしまいます。
そんな時、私は昔から、自分の気持ちを文章にしてきていました。
こうして文章に置き換えると、少し気分が落ち着きます。
私と妻の物語の先が、ハッピーエンドにつながっていることを毎日祈っています。
そして、いつか「アルファ・ラルファ大通りの脇道」が以前と同じ読書感想ブログになることができたらいいなと思っています。

コメント

  1. qumay より:

    >Takemanさま
     私も、父が倒れて下半身不随になるのではないかという状態に置かれたとき、ほんの少しでも病状が良い方向へ進んでほしい、と祈るしかできませんでした。
     さいわい手術も成功し、当人も現在では杖をつきながら歩くことができるようになっています。
     それでもあの当時、まわりの人たちの励ましや援助が無かったなら、私自身途方にくれたまま、おしつぶされてしまったかもしれません。
     Takemanさんも今たいへんな時期だと思いますが、「今日もこんなに良いことがあったよ」と語れるように、毎日の暮らしを見つめてくださることを願っています。
     ありきたりのことしか書けず、何の慰めにもなっていないかもしれませんが、Takemanさんと奥様の幸せを祈っている人間がここにもいることを忘れないでくださいね。

  2. Takeman より:

    qumayさん、ありがとうございます。
    昨日、妻を医療保護入院させました。
    覚悟は決めていたのですが、本人同意ではない強制入院の手続きとその後の入院準備、さすがにまいりました。
    覚悟と準備が十倍たりなかったようです。
    今の自分に出来る最良のことをしたのだから、後悔しても仕方がない、などと悟りきった境地には至ることができません。いまでも苦しみあがいています。
    今日の面会では妻に、もう信用出来ないから、退院したら離婚したいと言われました。
    想定していた言葉なので、ショックは受けませんが、ボディーブローのようにじわりじわりと効いてきています。退院までの面会時、どのくらいボディーブローを打たれ続けなければいけないのかわかりません。
    神様が私に、強い意志と強い心を授けてくださるように、できることならば少しだけお祈りをしてください。

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