- 著 一柳 凪
- 販売元/出版社 小学館
- 発売日 2009-04-18
一巻を読んだときにはよくある学園異能バトル物だと思っていたのだが……。
二巻目で早くもそんなレベルの物ではないことがわかりはじめて、とうとう今回は、冒頭からすでに飛ばしまくっている。
言語に意識が存在するとか、フランス語には男性名詞と女性名詞があることから、言語同士での性交によって新たな単語が生まれ続けているとか、言語を媒介として感染する病気だとかとスラデックやベイリーが書いてもおかしくないような馬鹿馬鹿しくもぶっ飛んだアイデアが登場する。
惜しむらくはこれが、登場人物が学生時代に研究していた事柄ということでそれ以上の展開はされないのだが、あまりにも素敵すぎるというかこんな面白いアイデアを単なる捨てネタとして惜しげもなく投入している有様が素晴らしい。
もはやライトノベルとしての部分が本題と分離しきってしまっている気もするのだが、ここまでやってくれたらそんなことなど些細な問題だ。
で、素晴らしいのはそれだけではない。今回は自由意志の問題が絡んでくるのだが、それがミステリとしての犯行動機の部分と密接に関係し、犯人は何故彼女を殺さなければいけなかったのかという命題に対してあっと驚く回答を用意しているのであった。
本格ミステリとして書かれていないのが非常に惜しい。
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