- 著 堀江 敏幸
- 販売元/出版社 新潮社
- 発売日 2009-02
こういう文章を読ませられてしまうと参っちゃうよねえ。
これが誰がどう見ても小説でしかないとわかる文章だったならば、別に構わないんだけれども、小説なのかエッセイなのかよくわからないというかそんな分類などどうでもよくなってしまう文章だから参ってしまうのだ。
自分ごときがこんな駄文を書き連ねていて良いのだろうかと思ってしまうし、あまりにも自分の文章の下手さ加減に嫌気がさしてしまう。
もっとも、比べる事そのものが間違っているといえばその通りなのだけれどもねえ。
でまあそれはともかくとして、コーネル・ウールリッチは街の描写がうまくって、しかもほとんど描写しなくっても都会の雰囲気を出すことができたのだが、堀江敏幸もウールリッチに負けず劣らず、描写がうまい。読んでいて目の前にフランスの街の風景が浮かび上がってくるのだ。そして、ただもう堀江敏幸の文章に身を任せてどこまでもどこまでもたゆたっていたくなるのである。
それはもう、あまりにも贅沢で、こんな贅沢をしてしまっていいのだろうかと思ってしまうくらい豊潤な文章なのである。
まあとにかく騙されたと思って読んで欲しい。
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