- 著 小林 泰三
- 販売元/出版社 角川グループパブリッシング
- 発売日 2009-03-25
プロローグ、臓物大展覧会なる場所にうっかり入ってしまった男に、臓物が物語を語り出す。と来ると、小林泰三版『刺青の男』なのか、これはとちょっと期待したくなる。『刺青の男』では、刺青を見つめるだけで良かったのだが、小林泰三の物語となると臓物を食わなければいけないというところがいかにも小林泰三らしいところなのだけれども、しかし、プロローグとエピローグがあるだけなので『刺青の男』ほど個々の物語の連結性はないし、どの話にも臓物が登場するというわけでもないのでまあ単なる短編集といってしまえばその通りなのだ。
臓物とあるだけあってどの話もグチャグチャのドロドロな話かと思うとそうでもないのでそういうものを期待していた人にはがっかりかもしれないけれども、まあその系統の話は「透明女」だけで十分というか終盤では小松左京の某短編を彷彿させるような展開をするので、それなりの満足はするのかもしれない。
唯我論を小林泰三流に調理した「ホロ」も面白いけれども、どの話もいつもの小林泰三節で、会話主体である。
それ故にちょっと物足りなさも感じてしまうのだけれども、まあこれは贅沢というものだろう。
コメント
こんばんは。
おぉ、小林泰三、未チェックでした本書。
「ホロ」って異形コレクションの『心霊理論』に載ってたヤツですよね?
立ち読みしてとても面白かったので、異形コレクション集めようかと思ってたんですが・・・そっか、すでに個人の文庫に収録されちゃったか。
相変わらずグログロなんでしょうねぇ。
記述師さんこんにちは。
>「ホロ」って異形コレクションの『心霊理論』に載ってたヤツですよね?
はい、そうです。
その他にも、クリスピーのおまけだった『クリスピー物語』に収録された短編も入っていますので、寄せ集めといってしまえばそうなんですが、まあ、中身はどれも相変わらずです。