- 著 蒼井 上鷹
- 販売元/出版社 双葉社
- 発売日 2009-03-12
前短編集ではそれぞれの話が無関係だったのに対して、今回は微妙に関連しており、その関連性に何か仕掛けがあるというわけでもないのだが、微妙な関連さ加減がなかなかいい方向への相乗効果をもたらしてくれて面白い。あくまで微妙な範囲なので、関連性具合を期待しているとがっかりするかもしれないが、とある話でばらまかれた現金を別な話の登場人物が拾ってネコババしていたりするあたりは、よくもまあこんな変な関連性を付けるものだと感心してしまったりする。
普通の長さの短編と数頁のショートショートの組み合わせという構成は前作と同様で、全体的には相変わらずブラックなオチで後味が悪いのだが、なかにはうって変わって爽やかというかちょっと感動的な結末を迎える話があったり、ブラックなオチであることには変わりはないけれども、何か得体の知れない要素がとけ込んでいるホラー系の話もあったりと、バラエティ豊かな作品集になっているのだが、短編よりもショートショートのほうがどちらかといえば切れ味がよくって、個人的には好きなのだけれども、表題作の実に嫌な結末というか登場人物達がたどり着いた真相もなかなか好きだったりもするのだ。
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