独白するユニバーサル横メルカトル

著　平山夢明
販売元／出版社　光文社
発売日　2009-01-08

この間出版された式貴士の『カンタン刑』で平山夢明が巻末エッセイを寄稿していたのだが、その時の内容の意味がこの本を読んでようやくわかった。
エロは無いものの、この本のそれぞれの物語におけるグロさとナンセンスさと、そして詩情性はまぎれもなく式貴士と同じもので、平山夢明は式貴士の後継者なのだ。
というのはさておき、確かに世間での評判通り、グロテスクで残酷で、うかつに他人様にはお勧めできない代物だったけれども、そういう物が苦手な私でも不思議と大丈夫な話だったのも事実だ。
式貴士と同じタイプの話だったというのも大きいけれども、読んでいて安心できるタイプの狂気だったということの方が大きいのだろう。
作者自身が、グロさとか狂気とかそういったものに非常に自覚的でコントロールできる範囲内で書いているから、読んでいて安心できるのだ。
作者がコントロールできている範囲においては大丈夫なのである。恐ろしいのは作者もコントロール出来ずに何処かへ連れ去られてしまうタイプの話だった場合だ。
平山夢明がいつの日かそのような話を書くのかもしれないけれども、そんなものは書かなくっても良いからしばらくは楽しませてほしいよなあ。